五十肩が治らない原因を解説!別の病気の可能性と見分け方、治療について

「五十肩が半年以上経っても治らないのはなぜ?」

「五十肩は治らない場合もあるの?」

「五十肩の痛みから早く解放されたい」

などの悩みを抱える方は多いと思います。

整形外科に行っても、リハビリをしても、整骨院に行っても治らない・・・

痛みの苦しさは本人にしか分からないので、誰にもわかってもらえず大変辛いものです。

五十肩の痛みや制限によるストレスからは早く抜け出すために、「五十肩が治らない原因」「別の病気の可能性」「五十肩の正しい治し方」について解説していきます。

目次

五十肩が治らない原因とは?合併症と日常生活

合併症(糖尿病や心疾患、喫煙歴など)の数が多いほど痛みが強く、治りが長引きます。

また、普段の生活で何気なくやっていることが、治りを悪くしている原因かもしれません。

そこで、過去の研究報告から根拠を含めて、五十肩になりやすく治りにくい人の特徴を12個ご紹介します。

五十肩が治らない原因となる合併症

◉糖尿病

糖尿病の人は、五十肩を発症する確率が高いと言われています。

インスリン依存型の糖尿病の人は、さらに発生する確率が上がります。

126人の五十肩の人と、足の整形疾患の人を比べると、五十肩のほうが明らかに糖尿病を合併している人が多かったという報告があります。

Ⅱ型糖尿病の人のうち、約30%が五十肩を発症すると言われています。

◉肩関節手術後

肩関節の手術後に、肩の動きにくさが起こるのは、五十肩が一因であると言われています。

上腕骨骨幹部骨折(腕の骨の中心部が折れた)の手術を行った人は、五十肩を合併する確率が56%もあったと報告されています。

心臓手術/心臓カテーテル

心臓手術を受けた男性214人のうち7人が、五十肩を発症したという報告があります。

糖尿病に比べると、確率は低いですね。

心臓カテーテルと五十肩発生率との関係は、まだ明らかでないようです。

パーキンソン病

健康な人と比べてパーキンソン病の人は、五十肩を発生する確率が約12倍高かったという報告があります。

しかし、パーキンソン病が進行することにより五十肩を発生しやすいかというと、関係ないそうです。

くも膜下出血

クモ膜下出血を発症した人の25%が、6ヶ月以内に五十肩を発症するという報告があります。

その危険因子として、1)意識障害、2)片麻痺、3)点滴の期間、4)年齢、5)うつ人格という5つが関連しているそうです。

甲状腺疾患

甲状腺疾患の人における五十肩の合併は10.9%にみられます。

特に無症候性の甲状腺中毒症の人では17.4%が発症したと報告されています。

高コレステロール

五十肩の43人と、健康な43人(年齢と性別同じ)を比べたところ、五十肩の人達のほうが、明らかにコレステロールの値が高かったという報告があります。

職業柄

五十肩は産業中心の労働者で多く発症すると報告されています。

デュピュイトラン拘縮

五十肩の58人中、30人(52%)にデュピュイトラン拘縮があり、健康な人(年齢が同じ)と比べて、明らかに多かったと報告されています。

※デュピュイトラン拘縮:手のひら〜指にかけて、コブのようなものができ、皮膚がひきつれて手を伸ばしにくくなる病気

心理的影響

五十肩になって6ヶ月未満の女性は、一般の女性と比べて明らかに不安が強かったという報告があります。

五十肩が治らない原因となる日常生活

使い過ぎor使わなさ過ぎ

少しずつ治ってきている状況で、痛みが出る動きをわざとやってみる方は意外と多いものです。

痛みがあってもしっかり動かす方がいい!と思いこみ、痛みを我慢して動かすのは逆効果です。

また、痛みが怖くて使わなさ過ぎするのも治りが遅くなる原因となります。

肩が冷えている

肩の冷えによって痛みを悪化させる例は少なくありません。

肩が冷えることで血行が悪くなり痛み物質が作られやすくなります。

五十肩が治らないのは別の病気かも?見分け方フローチャート

五十肩が治らない場合、本当に五十肩なのでしょうか。

そもそも五十肩は「肩関節周囲炎」という病気で、明らかな傷はなく肩の痛みと動きの悪さを生じるものです。

五十肩の症状やセルフチェック、治り方の特徴についてはこちらの記事をご覧ください。

ここでは、五十肩が治らない場合に考えられる別の病気と見分け方をフローチャートでご紹介します。

五十肩と見分けが必要な病気6つ

◉腱板断裂

外傷、加齢の変化により、腱(筋肉が骨に付着する部分)が弱くなり、断裂した状態です。

肩の痛み、動きの悪さと筋力低下を生じます。

肩峰下インピンジメント症候群

明らかな傷などがありません。

肩の動き(前に挙げる、横に挙げる)の時に引っかかり感と痛み、動きの悪を生じます。

頚椎症性神経症、変形性頸椎症

頸椎(首の骨)の神経が圧迫されます。

首から肩の外側にかけて放散した痛みが続きます。

肩の動きには問題がありません。

肩関節不安定症、肩関節脱臼

肩関節が脱臼したり、不安定となります。

肩の痛みは少ないです。

特定の肩の位置において、肩が脱臼する感覚、不安定な感覚が生じます。

肩関節唇損傷

投球によって手全体への負担が強くなると、肩の筋肉が集結している部分と関節唇(軟骨)がぶつかります。

肩の引っかかり感と痛みを生じます。

変形性肩関節症(OA)、リウマチ(RA)

肩関節の骨の変性により、骨と骨の間の適合が悪くなります。

肩を動かすとゴリゴリと音がなる場合があります。

肩の痛みと動きの悪さが生じます。

五十肩の見分け方フローチャート

五十肩は、「痛み」と「動きの悪さ」が主な症状ですが、それにも種類があります。

「痛み」は、安静にしている時に痛い安静時痛、夜に痛い夜間痛、動かすと痛い動作時痛があります。

「動きの悪さ」にも、全体的に動きが悪い場合はもちろん、引っかかり感や脱臼感、脱力感などがあります。

五十肩ではなく別の病気の可能性を見分けるため、肩疾患フローチャートをやってみましょう。

痛みの違いで見分けるフローチャート
動きの違いで見分けるフローチャート

五十肩が治らないと悩む場合の治療法

治る時期に適した治療をする

五十肩には、治る段階「急性期」「拘縮期」「回復期」があります。

それぞれの段階によって、治療や運動の方法があり、やってはいけないこともあります。

それを知らずに自己流でやってしまうと、治りが遅くなってしまいます。

例えば、五十肩は温めることが大切で、さまざまな研究でもその効果は示されていますが、怪我や使いすぎによる五十肩の場合、

発症して2日は安静が必要で、冷やさなければなりません。

他にも知っておくべき注意点はたくさんありますので、治る時期に適した治療や注意点についてはこちらをご覧ください。

正しい方法で肩の運動をする

五十肩の運動や体操は大切ですが、間違った方法で行ってしまうと逆効果です。

悪化すると重大な病気を発症してしまう危険もあります。

五十肩の運動は、治る段階に応じて、痛みのない範囲でしっかり動かすことがベストなのです。

五十肩の治る段階に応じた正しい運動についてはこちらをご覧ください。

寝る時に正しいポジショニングをする

五十肩の夜間痛は、生活の質を下げる最も辛い症状だと言えます。

寝る時のポジショニングは痛み軽減に重要であり、間違ったポジショニングをしている方はとても多いです。

夜間痛の対策として、上向き、肘の曲げ伸ばし、横向き、寝る時におすすめの温め方法などはこちらをご覧ください。

セカンドオピニオンをする

整形外科に行って注射をしてリハビリを頑張ったけど治らない、リハビリのできる期限内に治らない、整骨院や鍼治療の効果が分からないなど

悩みを抱える場合、セカンドオピニオン(別の病院に行って再診察してもらう)ことも一つの方法です。

肩疾患フローチャートにより別の疾患が考えられる場合は特に、セカンドオピニオンを考えてみるのも良いでしょう。

五十肩の整形受診、整骨院や鍼治療についてはこちらの記事をご覧ください。

まとめ

五十肩が治らない場合に考えられる原因や、別の病気の可能性と見分け方を中心に解説致しました。

正しく五十肩を見極め、治療を行うことが早く治す最も最短の方法です。

この記事が、五十肩で悩む方にとって少しでも有意義なものになれば幸いです。

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