「腱板断裂の手術後、肩周りがガチガチで動きが悪い」
「もともと肩こりや首こりがある」
「肩こりを自分で治せる方法を知りたい」
など、肩周りの固さによる肩こりや首こりに悩む方は多いと思います。
人間の体は、肩甲骨に腕の骨がくっついている構造です。
肩甲骨よりも腕の骨のほうが重たいので、肩甲骨周りの筋肉や組織が重労働なのです。
そのため、肩こりや首こりが起こりやすく、デスクワークなど長時間同じ姿勢でいることも大きく影響してしまいます。
この記事では、「肩甲骨周りの動きを柔らかくする運動=柔軟」と、「肩関節をスムーズに動かすための土台作り=強化」について、腱板断裂の術後はもちろん、慢性的な肩こりの対策にもなる運動をご紹介致します。
目次
腱板断裂術後のリハビリ -肩甲帯とは何か-
肩甲帯とは、上腕骨(腕の骨)、鎖骨、胸の骨、肋骨、胸椎(背骨)など、肩甲骨と繋がりのある部分で作られた、肩周り全ての構造のことを示します。
つまり、肩甲骨と体幹(胴体の部分)や腕の骨をつなぐ役割があると言えます。
いわゆる肩こりの原因となるのが、この肩甲帯の筋肉の固さなのです。
■肩甲帯の柔軟とは
肩甲帯の柔軟(柔らかさ)は、首や肩関節をスムーズに動かすために重要です。
肩甲帯が固い状態で肩関節を動かそうとすると、余計に痛みが出やすくなってしまいます。
また、肩甲帯が固いと首肩のこりを生じやすく、頭痛や眼精疲労を引き起こす場合もあるので、肩甲帯を柔らかくしておくことは大切です。
■肩甲帯の強化とは
冒頭でご説明したように、肩甲骨と腕の骨を比べると、腕の骨のほうが重たいのです。
物体は重たい方に引っ張られるので、原理的には腕に肩甲骨が引っ張られることになってしまいます。
そのため、腕を動かす(肩関節を動かす)ために、肩甲骨が体幹と連結して一体化することで、腕の重さよりも重たくなることが必要になります。
その役割を担っているのが肩甲帯の筋肉であり、腕を動かすための土台作りとして強化が必要なのです。
腱板断裂術後のリハビリ -肩甲帯の柔軟運動-
10回(10秒)を3セットが目安ですが、無理のない範囲で大丈夫です。
■柔軟1:肩甲骨
仰向けになって両手もしくは手術した側を外に広げます。
手術した側の足を曲げ、元気な側に倒して背中を捻ります。
※手術した側の肩が床から離れて浮かないようにしましょう。

■柔軟2:胸椎
仰向けになり、肩甲骨の下あたりに太めのタオルを敷きます。
両手を組み肘を伸ばして万歳をします。
ゆっくりと降ろしましょう。

■柔軟3:胸郭
椅子に座り、胸を張って肩甲骨を寄せるように手を後ろに引きましょう。
装具が外れて2週間経つまでは、肩を開いたり前に挙げたりするのは禁止なので、脇は開かずに締めたままで行いましょう。

腱板断裂術後のリハビリ -肩関帯の強化運動-
10回(10秒)を3セットが目安ですが、無理のない範囲で大丈夫です。
■強化1:前鋸筋
仰向けになり、手術した方の手を90°挙げます。
天井に向かって腕を突き上げましょう。
ゆっくりと降ろし、元の状態に戻します。
※肩がすくまないように、肩と耳が近づかないように注意しましょう。

■強化2:僧帽筋・肩甲挙筋
椅子に座り、肩の力を抜いて腕を降ろします。
脇を閉じたまま、床と垂直方向に両肩をすくめましょう。
ゆっくりと降ろします。
※肩が前方に出ないように注意しましょう。

■強化3:菱形筋
椅子に座り、セラバンドを前方の机の脚など動かないものに引っ掛けます。
両手でセラバンドを持ち、肘を曲げて肩甲骨を寄せるようにして引っ張ります。
装具が外れて2週間経つまでは、肩を開いたり前に挙げたりするのは禁止なので、脇は開かずに締めたままで行いましょう。

肩甲帯の運動は装具が外れたら始めよう
腱板断裂手術後や慢性的な肩こりに対する肩甲帯の運動についてご紹介致しました。
肩甲帯の役割や必要な運動など、ご理解頂けたと思います。
くれぐれも、痛みのない範囲でゆっくりと行いましょう。
腱板断裂手術後において、肩甲帯の運動はなるべく早期から始める必要があります。
主治医や担当療法士の指示に従い、できる運動から行っていきましょう。
何か一つでも参考になれば幸いです。