「術後の生活やリハビリの流れについて詳しく知りたい」という方は多いと思います。
装具が外れるまでは1人で生活することが難しく入院生活となりますが、装具が外れたタイミングで退院となり、自宅で生活しながら外来のリハビリが始まります。
入院中は毎日リハビリで動かしていたのに、退院すると動かす頻度が減るので、肩が一時的に硬くなりとても不安になりやすい時期ですが、安心して下さい。
外来リハビリで療法士の指導のもと、生活の注意点を知り、家でできる運動を痛みのない範囲で少しずつ行うことで、痛みや肩の動きは良くなっていきます。
前もって今後の流れを知ることで、不安を少しでも軽減できればと思いますので、装具が外れた後の生活やリハビリについて詳しく解説していきます。
目次
装具が外れるまでの大まかな流れ
腱板断裂術後のリハビリは、時期によって行う内容が決まっており、これをプロトコルと言います。
ざっくり説明すると、腱板(肩を支えたり動かしたりするのに重要な部分)の小断裂、中断裂、大断裂、広範囲断裂など、断裂の大きさによってプロトコルが異なり、治るまでの期間も違います。
ケンバック(肩を開いた状態を保持する装具)をつけている間は、肩周りや腕の固くなった筋肉の緊張を和らげたり、主に他動運動(自力では動かさず力を抜き、リハビリの療法士が動かすもの)を行います。
ケンバックを外す少し前の時期から徐々に自動介助運動(元気な方手で補助しながら動かす)や等尺性収縮(関節は動かさずに力を入れて筋肉を収縮させるもの)を行います。
ケンバックを外すまでの期間も断裂の大きさによって異なります。
※上記は一般的な順調に進む場合の流れです。術式や断裂の状態によって違う場合もあり、病院によっても多少の違いがあります。
装具が外れた後の生活とリハビリの詳細
ケンバックが外れたら、重力のない状態(寝ている状態)では自分で動かします。
しかし、外れてから2週間は重力に抗する状態(体を起こしている状態)で自分で腕を上げることは禁忌です。
この時期は、肩の力を抜きにくくガチガチに感じることもあるため、腱板断裂後の自主トレ:STEP1【肩甲帯の運動】が大切です。
また、夜間や雨が降ると痛みが出る場合には、適切な対策が必要です。
外れて3週目以降になると、腕を上げることが可能になり、車の運転も許可されます。
ただ、この時期は、動かせることが増えてつい色々な動作をしてしまいがちなので、再断裂の危険が最も高い時期だと言えます。
重たいものを持ち上げたり、手をついて体重を乗せたりするのは危険です。
少しずつ痛みも減ってくる時期になるので、痛みの状態に合わせて、腱板断裂後の自主トレ:STEP2【肩関節ストレッチ】と腱板断裂後の自主トレ:STEP3【腱板の筋トレ】を、正しい方法で行うことが大切です。
術後4ヶ月経過したあたりで、痛みもかなり減って肩の動く範囲も改善してくるので、自主トレもステップアップし、腱板断裂後の自主トレ:STEP4【肩関節安定性向上】を行います。
徐々に2kg程まで重さの物を持ったり、高い場所に手を伸ばすことも可能となりますが、6ヶ月経つまでは、まだ、勢いのある捻りの動きや、俊敏な動きは危険ですので、プロトコルに則り、療法士の指導に従って生活することが大切になります。
では具体的に、自分はいつからどんな運動をして、どんな生活ができるようになるのか?とハッキリ知りたい方のために、流れの目安をまとめました。
以下の表をダウンロードして、術日から日付を記入してみましょう。
自主トレの重要性
プロトコルの中に、自主トレがあることをご確認頂けたと思います。
医療機関で、回数制限なく受けられるリハビリテーションには期限があります。
腱板断裂の場合、手術日から150日(約5ヶ月)です。
期限を超えると、ひと月に受けられるリハビリの回数が大幅に少なくなってしまいます。
また、1週間のうちリハビリを受けている時間は少なく、リハビリ以外大半の時間は日常の生活を送っている状況にあります。
そのため、リハビリ以外で行う自主トレが、良好な早期改善に向けて大変重要なのです。
自主トレはSTEP1〜4まであり、時期に応じて行うことが大切です。
人それぞれ状態が違うのが普通なので、人と比べて焦ったりしなくても大丈夫です。
療法士と相談しながらステップアップしていきましょう。
◉自主トレまとめ