腱板断裂の術後、約4ヶ月経過し、痛みも減って肩の動く範囲も大きくなってきた頃から、肩関節の安定性向上に向けたトレーニングを始めます。
この時期は、肩の動く範囲をさらに広げ、筋力をつけることが目標になります。
そのため、手を挙げた状態で筋トレやストレッチなど、よりアクティブな運動になります。
肩関節だけに負担をかけないためには、体幹や肩甲骨が連動して動くことが大切です。
今までは単体でトレーニングしていた肩関節や肩甲、体幹を連動して機能的に動かす練習や、手に体重を乗せる練習も始めていきます。
少しずつ負荷を増やしながら、無理のない範囲で進めていきましょう。
目次
肩関節の安定性向上トレーニング
ボール(柔らかめのタワむもの)、セラバンド(負荷の弱いもの)です。
いずれも100均に売ってありますが、家にある同じような物を使って頂いても大丈夫です。
基本的に毎日、それぞれのトレーニングを、20回(秒)×3セット行いましょう。
痛みが強くなる場合は無理せず、STEP2と3に一旦戻ることも必要です。
何度も言いますが、「ゆっくりと動かす」「痛みが出たら無理にやらない」の2点を守って行って下さい。
■挙上位での内旋運動
うつ伏せになります。
うつ伏せになる時、肩を無理に捻らないように注意が必要です。
まず健側を下にして横向きになり、手は体側につけたままゴロンとうつ伏せになります。
うつ伏せで肘を伸ばしたまま、体がYの時になるように両手を斜め上までスライドします。
その状態から肘を90°に曲げます。
この体勢で肩が痛い場合は、上半身を少し起こします。
患側の掌でボールを床に軽めの力でゆっくり押しつぶします。
ボールが大きいと肩が痛くなる場合があるので、テニスボール程の大きさが良いです。

■挙上位での外旋運動
うつ伏せで、前述と同様の体勢になります。
健側でバンドをしっかりと握り、患側でバンドを軽い力でゆっくり引き上げます。

■ボールを押しながら回す運動
椅子に座り、前方の机の上で患側の手を前にスライドさせます。
これ以上前にいかないという限界の時点にボールを設置して、ボールを机に押し付けながら円を描きます。
時計回り10回、反時計回り10回を1セットとし、痛みのない程度にゆっくり行いましょう。
余裕があれば、立って壁に向かって同様に行います。
壁で行う場合は、回すのが難しければ上下に動かすだけでも構いません。


■肘立て伏せ
一般的な腕立て伏せを、肘をついた状態で行います。
肩と肘を90°に曲げて行いましょう。
体幹や肩甲骨、肩関節周囲全ての総合的な筋トレになります。
始めはキツイので、膝を立てて、しっかりと呼吸をしながら行いましょう。
10秒保持から始めて、徐々に20秒保持できるように練習していきます。

■四つ這いでの荷重練習
四つ這いで行います。
重心を少しずつ患側の手に乗せて保持して戻すを繰り返します。
保持する時間は、最初は5秒から始めて、10秒、20秒まで延長していきます。
体重をどのくらい乗せるかですが、痛みが出たら戻すようにしてコントロールしましょう。

■壁のタッピング練習
壁の前に立ち、患側の手を上にスライドしていき、これ以上挙がらない限界で止めます。
その状態で、手を壁から離して5秒保持した後、戻して壁に手をつきます。
これを20回繰り返します。

まとめ
術後4ヶ月、今まで長い間頑張ってきたリハビリも、終盤に近づいてきました。
ラストスパート、一緒に頑張りましょう!
この時期は、高い場所へ手を伸ばすことが可能となり、できる動作も増えていきます。
しかし、6ヶ月が経過するまでは完全ではありません。
2kg以上の重いものを片手で持つことや、勢いよく捻る動き、素早く力を入れるような動きはまだ避けて下さい。
療法士の指導のもと、自分のペースで大丈夫なので、できる範囲で行っていきましょう。