総合問題

ナルコレプシｰは,日中の過剰な眠気,
睡眠発作,情動脱力発作,入眠時幻覚と睡眠麻痺,
夜間睡眠障害を主症状とする症候群である.
睡眠麻痺とは,覚醒と睡眠の移行期に動いたり口をきくことができなくなる,一般にいう金縛りである.

迂遠は,思考の目標には重要でない枝葉の部分にとらわれ,いわゆる「まわりくどい」発言である.
保続は,限られた1つの観念や言語が繰り返し現れること,思考制止は思考の進行が遅く浮かんでくる観念も乏しいこと,思考途絶は思考の進行が突然に止まってしまうこと,観念奔逸は思考の進行が早く次から次へと観念が浮かび,思考の目標が変わりやすい症状である.

支配観念とは,設問のようにある観念が常に意識を占有している状態であるが,強迫観念のように非合理性はない.
強迫観念は不合理だとわかっている考えや疑問が反復して頭に浮かんでくること,虚無妄想とは自己に対する否定的な妄想,思考干渉とは自分の思考が他から干渉を受けているという感じである.
思考制止とは考えが進みづらく,考えが浮かんでこない状態である.

解離性障害には,解離性健忘,解離性遁走,
解離性同一性障害や離人症性障害などが含まれる.
解離性健忘は,重要な個人的情報で,通常、外傷的または
ストレスの強い性質をもつものの想起が不可能になることで,
器質性精神障害や通常の物忘れや疲労では説明できないものである.

情動失禁はごく弱い刺激に対して過度の感情反応が起こることで,
脳動脈硬化症で最も多くみられる.
思考散乱は,意識が混濁した状態のなかで文脈や話がまとまらないような場合をいい,パニック障害では特に起こらない.
作為体験は自我の能動性が他の力によってあやつられると意識することで,統合失調症特有のものである.
被害妄想は,他人などから被害を受けていると思う妄想の1つで,
思春期などにみられる摂食障害とは異なる.
行為心迫は躁病の際に現れるもので,次々と考えが浮かんで行動に移すので,仕事をどんどんこなすようにみえるが,重症になると仕事を放り出して多弁,易攻撃性,誇大妄想へと進んでいくこともある.

前頭葉症状は狭義には前頭前野と呼ばれる部位の障害で起こるものを呼ぶが,一般にはもう少し広い範囲で前頭葉という部位が障害され
覚醒障害,自発性の低下,運動開始の困難,保続,記銘力障害,作話などの症状が出現する.
幻聴は,統合失調症やアルコｰル幻覚症,器質性精神障害,意識障害でみられる.
視覚失認は後頭葉病変に,半側空間無視や着衣失行は,右半球頭頂葉病変に多い.
ウェルニッケ失語は,左半球側頭部を中心とした部分,ウェルニッケ中枢の障害によって生じる.

心気状態とは,身体症状に対するその人の誤った解釈に基づき,
自分が重篤な病気にかかる恐怖,
または病気にかかっているという観念へのとらわれである

厳粛な場所で「バカヤロー」と叫んでしまわないか,という思考が繰り返し現れていること,さらにそのことを気にしている
(そのような思考が不合理な思考であるとある程度感じている)ことを考えると,明らかに強迫性障害である.

保続は思考過程の障害であり,
会話内容が変わっているにもかかわらず
同じ観念が繰り返し現れる現象である.
主に痴呆症などの脳疾患でみられる

ICD-10の心理的発達の障害(F80-89)に分類されているのは,
学習障害である.
学習障害以外には,会話および言語,運動機能,広汎性発達障害等が含まれる.
抜毛症は,成人の人格および行動の障害(F60-69)に,チック障害,分離不安障害および非器質性遺尿症は,小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害(F90-98)に分類されている.